ここでは青色申告編の全体的な作業の流れを説明します。
全体的な作業の流れ
おおまかに表すと作業の流れは以下の7ステップになります。
作業ステップ | 内容 | 実施タイミング |
---|---|---|
①記帳 | 発生した取引の仕訳を登録 | 年度中の随時 |
②減価償却費の算出と記帳 | 減価償却費の算出と仕訳登録 | 確定申告時 |
③帳簿の整合性確認 | 記帳に漏れ等が無いかの確認 | 確定申告時 |
④不動産所得の確定申告書作成 | 不動産投資部分の確定申告書作成 | 確定申告時 |
⑤所得税の確定申告書作成~送信 | 会社員部分の確定申告書作成と送信 | 確定申告時 |
⑥申告の確認と納付 | 申告結果の確認と所得税の納付 | 確定申告時 |
⑦事後作業 | 帳簿保存や年次繰越等の事後作業 | 確定申告の後 |
以下、それぞれのステップの概要について説明します。
各ステップの概要
①記帳
実施タイミング: 年度中の随時
家賃、礼金、更新料などの収益の受け取りや、賃貸管理費、建物管理費、修繕費、広告費、契約事務手数料などの費用の支払い、または借入金の返済といったような日々発生した取引について仕訳を登録します。溜めておいてまとめて登録することも出来なくはないかもしれませんが、年度の中でこまめにやっておくと後が楽です。
また、円簿青色申告への入力をより省力化するためのExcelワークシートについても別途紹介しています。詳しくは 青色申告編|[Excelワークシート版] 全体的な流れ をご参照ください。
②減価償却費の算出と記帳
実施タイミング: 確定申告時(年度明け)
所有している資産の減価償却費の計算は自身で行っても良いのですが、確定申告書等作成コーナーが計算してくれるのでその機能を使って算出します。
そのため、一旦確定申告書等作成コーナーに入ってまた円簿青色申告に戻ってと、ここだけ少しイレギュラーな流れとなります。
確定申告書作成コーナーで算出したその年度分の減価償却費について、円簿青色申告に逆輸入して仕訳として登録します。
③帳簿の整合性確認
実施タイミング: 確定申告時(年度明け)
ここまでで対象の年度分の1年間の全ての記帳が完了しているはずですので、登録した仕訳に漏れが無いか確認します。通帳残高との突合、賃貸管理会社からの資料との突合、銀行からの資料との突合などを行います。
④不動産所得の確定申告書作成
実施タイミング: 確定申告時(年度明け)
まずは不動産所得の確定申告書から作成していきます。ここまでのステップで、既に入力する情報が帳簿として取りまとまっていますので、それを元に入力していくかたちになります。
終わりのところで、引き続き所得税の確定申告書を作成するを選ぶことで、情報を引き継いで次のステップに進むことができます。
⑤所得税の確定申告書作成~送信
実施タイミング: 確定申告時(年度明け)
不動産所得の確定申告書作成から引き継いだ情報を元に、所得税の確定申告書を作成していきます。ここでは会社からの源泉徴収票をもとに、給与所得や年末調整済みの事項についての情報を入力します。
なお、ふるさと納税の寄付金控除や住宅ローン控除などがある場合には、あわせてここで入力します。
最後に作成した確定申告書を送信して申告完了となります。
⑥申告の確認と納付
実施タイミング: 確定申告時(年度明け)
申告が受理されたかをe-Taxの画面で確認します。
また、そこからオンラインバンキングを使うなどして所得税の納付を行います。(還付の場合はこの作業はありません)
⑦事後作業
実施タイミング: 確定申告の後
最後に事後作業を行います。
帳簿の保存、円簿青色申告のデータの保存、円簿青色申告の年次繰越などを行います。
注記: 記帳について
記帳については青色申告特別控除(55万円 or 65万円)を受けるための複式簿記を前提としていますので、仕訳の知識がゼロという方はできれば簿記3級の基礎レベルの知識を付けられることをおすすめ致します。
仕訳の知識なしでも簡単にできる!を謳った書籍や会計ソフトも多いですが、個人的には基礎的な部分だけは解ったうえでやった方が結果的に早い気もします。何より解った方がスッキリしますし、場合によってはその知識が本業に役立つ場面もあるかと思います。
次は、クラウド円簿 – 円簿青色申告 の始め方と初期設定になります。